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統合失調症は癒える   中井久夫と考える患者シリーズ 3

中井久夫と考える患者が読み解く
“治療と治療関係”に焦点をあてた統合失調症の手引書、第3弾!

―回復を目指す患者、回復を支援するすべての人に

内  容

第1巻『統合失調症をたどる』第2巻『統合失調症をほどく』に続き、中井久夫のテキストを"考える患者たち"が読み解くシリーズ第3巻。

中井は、「自然治癒力への信頼と自己尊厳の回復」こそが治療を貫いてもっとも必要なものと考え、回復過程では、患者の自己尊厳を確立し、「心のうぶ毛」とも言うべき患者の感受性を大事にした。患者とその家族の心理を鋭く深く洞察した言葉は、治療に信頼と希望を与え続けている。

治療者として患者に向き合う真摯な姿勢からはじまって、初診時、急性期、入院時、薬を処方する時、ゆとりを失っている時、回復途上にある時など、さまざまな場面において、どのような配慮と言葉が患者とその家族に響き、共同作業として相互信頼に基づく治療関係を築いてゆけるのか。

治療と治療関係をテーマに、回復と希望へ導く言葉を中井と患者が一緒に探っていく。

はじめに/森越まや(本文より)

精神科医・中井久夫先生(以下中井)とラグーナ出版をつなげたのは、統合失調症と本である。
中井は、統合失調症を「医師としての生涯を賭けた対象」であり、「憧れを抱くもの」と書く。一方私たちは、統合失調症の患者たちと本を作っている。
私は一九八七年に精神科医として働きはじめてから、折にふれ中井の著作を開いた。その言葉はいつも心にあって仕事や人生の指標となり、私を励ますものだった。本を通して何か最良の力を与えられる思いだった。
二〇〇五年、ラグーナ出版の活動を始め、最初の単行本『風の歌を聴きながら』(東瀬戸サダエ著)を刊行した。統合失調症を抱えた著者が、二十二年の入院生活と退院後の友人との共同生活の喜びやつながりを、深くあたたかな言葉と短歌で綴った半生記である。この本の書評を、中井は「ああいいよ」と引き受けてくれた。
その書評で中井は、著者の「統合失調症は私の財産」という言葉に注目して、病気を財産としたのはその人の人となりであって、「真珠を真珠貝が育てるのにも似て病気が人を育てることもあるのだ。そのような素質をもっと多くの患者が秘めていて引き出されるのを待っているに違いない」と書いた。
それから私たちは、患者とともに中井の言葉を読み、語り合い、文章の一つひとつから生き抜く力を学んでいる。中井に私たちの試みを伝えると交流が始まり、その対話をまとめたものが本シリーズである。
本書では、「治療」と「治療関係」をテーマとした。
中井が本書で述べる通り、治療の目標を、症状を引き起こすに至った「発症以前の状態より、より安定した状態に至ること」とすると、「治療」は病院の中ばかりではなく、むしろ家庭や学校、職場といった地域生活の場へと広がっていくであろう。それに応じて「治療関係」も、医療者と患者という関係ばかりでなく、日々の暮らしの中の人間関係にあると考え、編集をすすめた。そして会議を重ねるうちに、「よい治療とは何か」という問いは「よりよく生きるとは何か」へと変わっていった。
中井は、「僕は楽観的な医者として見られているかもしれないが、絶望の味も知っているのです」と語ったことがある(私談)。ある患者は「病気になったとき将来はないと絶望したけれど、その先に違う未来があった」と語った。統合失調症は完治する人もいれば、さまざまな症状を抱え続ける人もいる。"絶望"は「治す」ものでなく「癒やす」ものであろう。治療の視点を暮らすことや生きることにおいたとき、目標となったのは"希望"である。「統合失調症は癒える」という表題には、病の経験と実感が込められている。

著  者・監修者

中井 久夫

1934年奈良県年生まれ。
京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。甲南大学名誉博士。精神科医。
著書に、『中井久夫著作集―精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91年)、『家族の深淵』(みすず書房、1995年、毎日出版文化賞受賞)、『統合失調症』全2巻(みすず書房、2010年)など多数。
精神医療のみならず文学、詩、絵本など幅広い分野で、英語、ギリシア語、フランス語、ドイツ語などの翻訳書がある。
2013年、文化功労者に選ばれた。

考える患者たち

ラグーナ出版編集部で働く、統合失調症のある患者たち。

目  次

はじめに/森越まや

第一章 統合失調症は癒える/中井久夫
  一 説き語り 回復への信頼と希望/中井久夫×森越まや
  二 治療者へ 若干の原則的な提言
  三 家族の方々にお伝えしたいこと

第二章 統合失調症の経験/考える患者

第三章 統合失調症の治療/中井久夫
  一 治療の目安としての症状
  二 精神療法
  三 薬物療法
  四 私が電気ショック治療をしない理由

第四章 信頼と希望を育む治療関係/中井久夫・考える患者
  一 信頼と希望の土台となるもの
  二 はじめて出会うとき
  三 急性精神病状態(激しい症状)のとき
  四 薬を飲むとき
  五 入院のとき
  六 家族に伝えて役に立つであろうこと
  七 ゆとりを失っているとき
  八 患者が幻覚妄想を口にしたとき役に立つであろうこと
  九 よくなってきたと思うとき

解説  私の精神科医療への取り組みと中井久夫/近藤廉治

統合失調症は癒える

四六判(128×188ミリ)
/ 256頁

定価(本体2,500+税)

ISBN 978-4-904380
-54-3 C3047

2017年10月17日発行
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